植物博士の文章錬成所

小説で植物の情報を伝えていく!(それ以外の記事が立つこともあります)

1.モンステラ

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※完全版はこちら→https://note.com/artcielinnature/m/m080ce8e63870

 ※写真お借りしました;https://www.photo-ac.com/profile/1734006

 

ここ三千世界の陸(おか)には、北に帝国メガロポリス、南に王国ロブリーズという国が残っていた。後者はしばしば“沙漠の国”と形容されるが、実際は湿地・森林・熱帯エリアも存在している。
本日、熱帯エリアの植物を確認したので、報告する。
「着いたよー! …?」
王国の中心…から少々西を南北に縦断するニテス川は、王国最大流速を誇る川である。北は山岳都市スパイク、南は王宮城下町近郊まで伸ばすその勢力は、そのうち王宮ベルベットに流れ込むと警戒される程だ。
「暑い…死ぬ…暑い…」
「だいじょうぶ?」
「沙漠よりはマシかな…」
同時に、ニテス側沿いの地域の気候差も世界一で、北は冷涼、南は温暖湿潤という話だ。また行くことがあれば、温度調節の出来る服や魔法石は持って来た方が良さそうだ。
「つまりニテス川の氣候は極端なんだ…あ、コレかな?」
さて、アサヒとカロリーヌは王立植物協会による依頼に応じて、ニテス川に赴いていた。依頼内容は、或る植物の存在調査および採取だ。
アサヒは今見つけた植物と、頂いた依頼書を確認した。
「該当植物は熱帯エリアに生息、つる性、気根、葉に羽状深裂穴(鳥の羽の様な深い切り込み)があり、水滴を出す事がある。切って出た汁はかぶれ注意…」
モンステラね。サトイモ科。」
サトイモかぁ。じゃあ、水は好きな方だね。」
モンステラは、茎の節々から白くて太い根を出すつる性の植物だ。帝国では建物内に緑を提供する観葉植物として重宝され、王国から態々輸入している。
では、王国ではどう使われているのだろう?
留学生としては氣になる所だ。アサヒは色々質問してみた。
「大木に巻き付いてるけど、日光が苦手なのかな?」
「この様子だと、そうねー。」
「…なんでモンステラの葉には切れ込みがあるの?」
「あたしが聞いたのは、穴にあたる部分の細胞が死ぬんだって。」
「もしかして、細胞自然死(アポトーシス)」
「よく分かんなーい。けど、それで光合成を効率良くするとか、風で折れない様にするとか、雨を通すとか、理由は諸説ある感じ。」
「そ、そうなんだ…ちなみに、王国ではモンステラって、何に使うの?」
「実を食べるの。」
「へ?! 実が、できるの?!」
「食べるのは或る品種だけだよ。人差し指を二回り大きくした様な、緑色の実が出来るから、その、ウロコみたいな皮を剥いて食べるの。」
「マジですか…」
「あ、丁度あるね! 食べてみる?」
「あっじゃあ、頂きまーす!!
 …なんだろう、バナナなのにフルーティな感じだ…」
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モンステラは茎葉を水に挿すと生える!つよいぞモンステラ!!
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参考ホームページ

wikipediaアポトーシス
https://monstera.jp/mania/encyclopedia/flower/
https://allabout.co.jp/gm/gc/65936/
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CAST
・リノクのアサヒ
・カロリーヌ=コンフラワー